ArlissEXPOに参加し、CanSatの情報をゲットました
2024/12/10
宇宙好きの皆さん、おはようございます!
デジタル化推進アカデミーの岩田敏彰です。
2024年12月8日(日)、東京日本橋で行われた表記イベントに参加しました。
9月に米国アリゾナ州ブラックロック砂漠で行われた缶サットのコンペティションARLISSの参加チームの展示会で、参加された学生さんから直接話を聞いたり、中須賀先生、中村友哉アクセルスペースCEO、はやぶさ2プロマネの津田雄一先生の話を聞けたりしました。
ARLISSは、ハイパワーロケットで数キロ上空まで缶サットと呼ばれる擬似的な小型衛星を打ち上げ、ロケットから缶サットを切り離してパラシュートで落下させ、着陸後に目標地点までドローンやローバーで移動させる競技です。目標地点からの距離で成績を競います。
中須賀真一先生には、2000年前後のころ、先生が缶サットやキューブサットを立ち上げられた時の状況や、前例がない中での試行錯誤などそのときの苦労話を聞かせていただきました。それから20年以上たって、現在の状況があることを感慨深く語られました。この缶サットの競技では宇宙開発に必要な体験が詰まっているとお話しくださいました。つまり、開発してそれをロケットに載せてしまうと、もう触ることができない。データ信号が下りて来なければ、それまでの努力が報われない厳しい状況で、ちょっとしたミスがそういったことを引き起こす、ということです。
中村友哉さんは、学生時代は中須賀研で缶サットもキューブサットも経験され、2008年にアクセルスペースを創業されました。当時は民間企業が商用目的に人工衛星を作るということは考えられない時代で、投資家に投資を頼みに行っても鼻で笑われるなど苦労されたことを聞かせていただきました。そのようなリスクを負ってまでよく創業できたな、というメンタルの強さにしびれました。
津田雄一先生も中須賀研出身で、第1回ARLISSに参加されました。そのとき、リーダーをされた自分たちの缶サットだけ切り離し後に信号が来ず、落下した缶サットを探しに行く気力もなくなり、毛布をかぶっておられたそうです。直前に変更したアンテナが機能しなかったそうです。振動試験や衝撃試験もせずに変更したことを悔やまれましたが、内部でデータを取っていて、それが回収できたことがせめてもだった、と回想されていました。バックアップの重要性を再認識されたそうです。その後、JAXA宇宙研ではやぶさ2のプロジェクトマネージャーをされ、小惑星リュウグウからのサンプルを回収されたのは皆さんもご存じと思います。
全部で15チームの展示があり、スタンプラリー形式で開発した学生さんの話を聞きました。全部は紹介できないですが、印象に残ったものをいくつか紹介します。
まず、初出場で初優勝された新潟大学の話は、わが山口県でもぜひ参考にしたく思いました。成績はゼロメートル、完全に目標地点まで移動した、というものです。
私が作っている学習用キューブサットモデルにも通じるものがあるのですが、運動センサ、距離センサ、画像センサ(カメラ)、GPS、無線通信が必須となります。このハードウェアをプリント基板まで材料科学3年の学生さんが作られたようなのです。電子系の学生ではないのです。今回、初参加ということで、過去の他大学のシステムを徹底的に研究されたそうです。半年程度でゼロから作り上げるのですから、大変な苦労があったと思います。地方大学で、情報も限られていたであろうことを思うと、頭が下がります。
東京大学はドローンを2つ、展示されていました。東大は中須賀先生や多くの先輩がおられるので有利な条件ではありますが、技術的にレベルの高いことを目指されているのはさすがだと思います。東大の航空宇宙といえば、日本の理系でも頭の切れるトップレベルの人材だと思うのですが、それでも半年間、20人ほどの学生が授業が終わる17時ごろから夜10時、11時まで毎日頭と手を動かして作業を続けてきたそうです。そのエネルギーとバイタリティが若者の特権のように思います。
慶應義塾大学のモデルは、月の洞窟探査を念頭にしたもので、先にマーカーを設置したうえで、そこにターゲットを投擲するモデルでした。この話を聞いたときに、山口県の洞窟の縦穴を使った探査実験を計画して、ぜひ来ていただきたいと思いました。鳥取県でも砂丘を利用した月面ローバーの競技会を県主催でされるようなので、わが山口県でも月洞窟探査の競技会をやればいいと思います。
ほかにもいっぱい大学が展示されていたのですが、いったんここまでで、終わります。
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デジタル化推進アカデミー
岩田 敏彰
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